2021年からベースロードグループに出資している米石油大手シェブロン。同社のエネルギー転換を加速する戦略や心構えは何でしょうか。Chevron New Energies部門を率いるJeff Gustavsonにお話をお伺いしました。
シェブロンはエネルギー転換・脱炭素化を加速するため、現在2つの柱で戦略を進めています。1つめは石油・ガスという従来のエネルギーのCO2を削減すること。2つめは低炭素化に取り組む比較的小規模の企業を支援することです。
「24年前に入社した時、いずれエネルギー転換の時代がやってくると思っていました。今の仕事は私の夢だったのです」
クリーンで信頼できるエネルギーを手頃な価格で安定供給するために、エネルギーミックスという考え方は重要です。再生可能エネルギーの普及を拡大する一方で、石油・ガスといった従来のエネルギーも依然として重要な役割を担っています。こうしたことから、シェブロンは従来のエネルギーのCO2削減に取り組む一方で、エネルギー転換を加速するため、ブルー水素やグリーン水素の製造、CCUS(二酸化炭素回収貯蔵)、カーボンオフセット、そして地熱などに取り組む企業や新技術に投資していくことが重要だと考えています。これまでも取り組んできましたが、近年は投資額を3倍に引き上げ、そのうち2割を従来エネルギーのCO2削減、8割を優良企業やプロジェクト、新技術の支援に充てています。
共に地下資源を扱う企業として
「石油・ガスと地熱は、地下資源を扱うという点で多くの共通点があります。私たちのような伝統的な産業が長年積み上げてきた技術は、新しい分野の技術に役立つと思います」
規模の拡大を通してリターンを確実にする
新技術の開発やプロジェクトには多くのリスクが伴いますが、リスクを恐れずに挑戦し、そこから学んでいかなければなりません。
「長期的視点を持って投資しています。当初は赤字が続くかもしれません。しかし策定した戦略・プロジェクトを確実に遂行して規模を拡大していけばコストは低減します。そして技術も時と共に進化していきます」
投資にはリスク許容が必要ですが、規律を持って投資判断していくことが大事です。なぜならば十分なリターンを得られて初めてサステナブルでいられるからです。
エネルギー転換の加速には官民の協力体制が必要
エネルギー転換を加速するためには、新技術に投資すること、政府や地方自治体などと協力して規制緩和や税制などの優遇策を考えること、そして同業他社や業界の枠組みを超えて、また大企業とスタートアップが協業することが必要だと語ります。
スタートアップのような心構えをもつ
エネルギー転換において、巨大企業であるシェブロンに必要なのは起業家精神に富んだ文化を醸成することだと強調します。「ベースロードグループのようなスタートアップが持つ、チャレンジ精神や迅速な決断といったメンタリティを持たなければなりません」
両社はオープンな対話を通して、石油・ガス業界と地熱業界が共通のノウハウを活かして協業し、再エネにおける地熱発電のシェアを伸ばし、脱炭素化に貢献していきたいという決意を新たにしました。
詳しくは、ベースロードグループのポッドキャスト「The Switch」(英語のみ, 56’54”)をご覧ください。
https://baseloadcap.com/chevron-an-oil-and-gas-company-making-bets-on-sustainable-energy-jeff-gustavson-president/